所有権保存

所有権とは?

民法の三大原則の一つの所有権絶対の原則というものがあります。
これは所有権者には自由に所有物を使ったり、壊したり、売ったりできるということです。抵当権などの担保設定ができるのもこの原則によるからです。

また所有権は「一つの物権により一つしか成立しない」という一物一権主義の原則により複数人が所有権を取得するなどの混乱のないようになされています。 

そして不動産については公示の原則を採用していて、登記がないと第三者に対抗できないというように消極的に権利保護をしています。これにより所有権保存登記が必要となります。
これに対して動産ついては公信の原則を採用していて、占有(持っている)だけで所有権者と推定される。これについては現在社会において動産の売買が多いこともあり、積極的に権利を保護をしていることなります。

【民法第206条】
所有権は、法令の制限において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

所有権保存登記について

登記簿に最初に記録する権利の登記です。
所有権保存登記は必ず最初にしなければならず、これがなければ所有権移転登記や抵当権設定登記はすることができません。
所有権保存登記できる者は法定で決められています。

  • 表題部所有者、その相続人、その他の一般承継人
  • 判決によって確認された者
  • 収用によって所有権を取得した者
  • 区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者

土地については全国ほとんどがすでに保存登記がされている(されていないのは埋立地など)ため、所有権保存登記は建物についてのみといえるでしょう。

登記は常に所有権保存登記から始まりますので、なるべく早く登記をしたほうがよいでしょう。

所有権保存登記に必要な書類 

・委任状

・住民票の写し

・減税証明書(任意)

所有権保存登記と他の権利との関係

所有権移転登記との関係

所有権保存登記をする前に当該不動産を売ってしまった場合でも所有権保存登記は必要となり、保存→移転という2件の申請になります。

担保権設定との関係

所有権保存登記をする前に当該不動産に抵当権を設定登記をすることはできません。ただ抵当権設定はすることができるので、保存前に融資されることは可能です。保存→設定という2件の申請になります。

表題部登記との関係

所有権保存登記の前に表題登記は必要です。表題登記につきましては、土地家屋調査士の担当業務で、当事務所にご依頼いただければ、提携している土地家屋調査士と連携で登記申請することができます。

住所・氏名が変更されているとき

所有権保存登記をする前に表題登記になされている住所・氏名とこれから申請しようとする所有権保存登記の住所・氏名が違っているときは2件に分けることなく、変更証明書(住民票の写しなど)を添付して、変更後の住所・氏名で所有権保存登記申請ができます。